古着辞典 > タグの見分け方

英国王室御用達としても知られるトレンチコートの代名詞、Burberry(バーバリー)。ノバチェックの裏地でおなじみのこのブランドは、冬の古着市場で長年にわたって高い人気を誇っている。時代を超えて愛され続ける定番の風格が、多くの人を惹きつけてきた理由だろう。タグに記載されたブランド名の表記や、騎士のマークの配置を読み解くことで、そのアイテムがおおよそどの年代に作られたのかを推測できることが知られている。この記事では、Burberryのタグに現れる年代のサインを、古着初心者の方にもわかりやすいように整理して紹介していく。160年を超える歴史を持つブランドだけに、タグの変遷にもその重みが感じられる。トレンチコートという一着に凝縮された英国の職人技術と歴史を知ってから眺めると、これまでとは違った感慨が湧いてくるはずだ。
Burberryは1856年、イギリスでトーマス・バーバリー氏によって創業された。若干21歳という若さで事業を興したという逸話も、彼の先見性の高さを物語っている。当時としては画期的だった、通気性と防水性を兼ね備えた生地を開発したことで、その名を広めていくことになる。第一次世界大戦中には、この生地を使った機能的なコートが軍の将校向けに採用され、これが今日私たちが親しんでいるトレンチコートの原型になったとされている。1920年代にはブランドを象徴するチェック柄が裏地に採用されるようになり、以後このチェック柄は世界中で認知される意匠として定着していった。実用性を追求する中で生まれた副産物とも言えるこのチェック柄が、後年になってブランドそのものを象徴するアイコンへと成長していったという経緯は、デザインの力を物語る興味深いエピソードのひとつだ。単なる裏地の柄にとどまらず、マフラーやバッグなど様々なアイテムに展開されていったことで、ブランドの認知度をさらに押し上げる原動力になった。
Burberryの信頼性を語るうえで欠かせないのが、英国王室から授与されているロイヤルワラントの存在だ。1950年代にエリザベス二世女王から、そして1990年代にはウェールズ皇太子から、それぞれこの栄誉を授与されている。国家元首から公式に認められるというのは、並大抵の信頼では成し得ないことだ。過酷な戦場での使用に耐えうる実用性を追求してきた歴史と、王室からの信頼という格式の高さを兼ね備えている点が、このブランドならではの魅力と言えるだろう。
Burberryが世に送り出した最大の発明のひとつが、通気性を保ちながらも防水性を実現した「ギャバジン」と呼ばれる生地だ。当時の防水衣料は、ゴムでコーティングされた重く蒸れやすい生地が主流であり、快適に着用できるものではなかった。トーマス・バーバリー自身が農作業員の作業着からヒントを得て開発したとされるこの生地は、糸そのものを撥水加工することで、生地に通気性を持たせながら雨風をしのぐという画期的な発想を実現した。この技術革新があったからこそ、後のトレンチコートという傑作が生まれる土台が整ったと言える。

Burberryのタグに記載されるブランド名の表記は、時代によって大文字か小文字かが変わっている。もっとも古い時代はすべて大文字で表記されていたが、1960年代に入ると先頭のみ大文字にした表記へと変わっていった。まずはこの大文字か小文字かという違いを見極めることが、年代判別の出発点になる。文字の形という視覚的にわかりやすい特徴であるため、遠目からでも判別しやすいポイントだ。
ブランドを象徴する騎士の紋章とロゴ文字の配置にも変化が見られる。もっとも古い時代は騎士のマークが上、ロゴが下という配置だったが、ブランド名が小文字表記に変わったタイミングで、この配置が入れ替わっていった。この配置の違いを確認することで、大文字時代か小文字時代かをさらに裏付けることができる。ロゴ位置の入れ替わりという細部の変化にまで目を向けることで、判断の精度は一段と高まる。

ブランド名の右下に添えられる商標に関する表記にも変化がある。小文字表記になった初期の時代は商標登録済みを示す文字表記が使われていたが、その後の時代になると記号のマークへと切り替わっていった。この表記の違いを確認することで、小文字タグの中でも前期のものか後期のものかを絞り込むことができる。文字表記から記号表記へという変化は、多くのブランドに共通する商標登録手続きの進展パターンのひとつでもある。
タグ全体の地色にも時代ごとの傾向がある。長らく黄褐色の地色が使われてきたが、1990年代になると、色味を反転させた通称「白タグ」と呼ばれるデザインが登場した。この白タグは主にレディースアイテムに使われていたとされ、比較的新しい時代のアイテムを見分ける手がかりになる。

ブランド名の末尾に「s」が付いているかどうかも、非常にわかりやすい年代判別の手がかりになる。1999年頃までは末尾に「s」が付いた表記が使われていたが、2000年代に入るとこの「s」が外れ、現在のブランド名表記へと変わっていった。この一文字の有無だけで、大まかな時代の境目を判断することができる。他の要素を確認するまでもなく、この一文字さえチェックすれば大まかな時代がわかるという手軽さは、他の着眼点にはない大きな利点と言えるだろう。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 〜1950年代 | 大文字タグ | ブランド名がすべて大文字。騎士マークが上、ロゴが下に配置 |
| 1960年代前半 | 小文字タグ初期 | 先頭のみ大文字の表記に変化。配置が逆転し、商標登録の文字表記が入る |
| 1970年代〜1980年代 | 小文字タグ後期 | 商標登録が記号のマークに変化。タグの基本デザインは大きく変わらず |
| 1990年代 | 白タグ | 地色を反転させたデザインが登場。主にレディースアイテムに使用 |
| 1999年〜2000年頃 | 移行期タグ | 「s」ありの旧表記から「s」なしの新表記へ切り替わる |
| 2000年代以降 | 現行系タグ | ブランド名から「s」が完全に無くなり現在の表記に統一される |

実物を確認する際は、まずブランド名が大文字か小文字かを見て大まかな時代帯を絞り込む。次に騎士のマークとロゴの配置を確認し、続いて商標マークの表記を見る。そのうえでタグの地色が黄褐色か白かを確認し、最後にブランド名の末尾に「s」があるかどうかを見て、これまでの情報と矛盾がないかを突き合わせるという順序で進めると判断がしやすい。

ブランドタグとは別に、内ポケットの内側などに付けられている内タグにも注目したい。この内タグに記載された数字とアルファベットの並びの中には、製造年を示す情報が含まれていることがある。並びの中ほどに位置する二桁の数字が、製造された年の下二桁を示しているとされ、この読み方を知っておくと、ブランドタグのデザインだけでは絞りきれない詳しい時期まで特定できるようになる。すべての個体にこの内タグが付いているわけではないが、見つけられた際にはぜひ確認してみてほしい、非常に信頼度の高い情報源だ。

1970年頃、Burberryは日本の大手アパレル企業とライセンス契約を結び、国内での生産・販売を行っていた時期がある。この時期の日本国内向け商品には、内タグに特定の記号が記載されていることがあり、これが国内正規ライセンス品であることを示す目印になっている。このライセンス期間中には、若い世代に向けた派生ラインも数多く展開され、当時の人気アイドルが着用したことをきっかけに大きな話題を呼んだラインも存在する。国内での長年にわたる展開は、単なる輸入販売を超え、日本市場向けに独自の企画開発が行われるほどの規模へと発展していった。この時期に生まれた派生ラインは、本国のオリジナルデザインとは異なる魅力を持つものも多く、当時を知る世代からは今なお根強い支持を集めている。

オンラインで購入を検討する場合は、ブランドタグの正面写真だけでなく、内タグの記載内容がわかる写真もあわせて依頼するのがおすすめだ。実店舗で確認する場合も、ボタンに刻まれた文字の均一さまで確認する習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。あわせて、生地の織り方やチェック柄の色合い、裏地の縫い付け方といった全体の質感も見ておくと、タグの情報だけに頼らない総合的な判断ができるようになる。とくにイギリス製のトレンチコートは、生地の厚みや光沢感に独特の重みがあるとされ、この質感の違いを見比べる楽しみもヴィンテージならではだ。

A. 「Burberrys」と末尾に「s」が付く表記のほうが古く、1999年頃までこの表記が使われていた。2000年代以降は「s」の無い現在の表記に統一されている。
A. 主にレディースアイテムに限定して使われていたタイプであるため、他の時期のタグに比べると見かける機会がやや限られている。
A. その場合はブランドタグの表記や配置、地色といった複数の要素を組み合わせて、総合的におおまかな時期を推測することになる。
A. 本物として扱われる。正規のライセンス契約に基づいて生産されていた期間の商品であり、国内向けに丁寧な仕立てが施されている。
ヴィンテージ市場でBurberryのアイテムに価格差が生まれるのは、単に古いか新しいかという単純な話だけではない。使用期間が短かった希少なタグデザインや、当時の生地の質感、縫製の丁寧さといった要素が組み合わさることで、コレクターの間での評価が変わってくる。戦場で使われる実用衣料から生まれたブランドだからこそ、タグから読み取れる情報は単なる「年式」以上に、その一着がどのような時代の格式や実用性を体現していたのかを知る手がかりでもある。過酷な戦時下で兵士を守るために生まれた一着が、時代を経て世界中の紳士淑女に愛される定番アイテムへと昇華していったという流れを知ると、一枚のタグから読み取れる物語もより深く感じられるようになる。

Burberryのタグから年代を読み解くには、ブランド名の大文字・小文字表記、騎士のマークとロゴの配置、商標マークの表記、タグの地色、ブランド名の「s」の有無という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。英国の伝統と格式が詰まったブランドだからこそ、タグの変遷そのものにも王室との歩みが刻まれている。ひとつずつ着眼点を確認しながら、自分の手元にある一着の背景を紐解いていってほしい。「s」の一文字が付くか付かないかというごく小さな違いから、これほど確かな年代判別ができるという事実を知ると、タグを読み解く楽しみもより一層味わい深いものになるはずだ。
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