古着辞典 > タグの見分け方

スウェットの王様として長く親しまれてきたChampion(チャンピオン)。中でも「リバースウィーブ」と呼ばれる製法のスウェットは、古着市場で今なお高い人気を集めている定番アイテムだ。同じモデルに見えても、作られた時代によって首元のタグのデザインや素材の配合はかなり変化しており、このタグを読み解くことでおおよその製造年代を推測できるようになっている。この記事では、Championのタグに現れる年代のサインを、古着を始めたばかりの人にもわかりやすいように整理して紹介していく。一枚のスウェットに残された小さな表記の違いを読み解いていく作業は、知れば知るほど奥深く、古着選びの楽しみをぐっと広げてくれるはずだ。
リバースウィーブは、通常のスウェット生地とは編み方の向きを90度変えることで、洗濯を繰り返しても縦方向に縮みにくくした製法のことを指す。あわせて両脇に伸縮性のあるリブ(ガセット)を設けることで、横方向の伸縮にも対応できるように工夫されている。もともとは大学や高校の運動部向けに開発されたアイテムで、練習着として頑丈さと洗濯耐性を両立させる目的で生まれたという背景がある。この機能性の高さが評価され、後年になってファッションアイテムとしても定着していった。

Championのリバースウィーブは、時代ごとに首元のタグのデザインが大きく変わってきた。ごく初期はランナーのイラストが入った通称「ランタグ」、その後四辺を縫い付けた「タタキタグ」、単一の色で文字が刷られた「単色タグ」、赤と青の配色を用いた「トリコタグ」、そして刺繍で仕上げられた「刺繍タグ」へと変化していく。まずはこの大きな分類のどれに当てはまるかを見極めることが、年代判別の出発点になる。
タグに印字されている会社名の表記も、時代を見分ける手がかりのひとつだ。ある時期までは編み立て会社としての社名が使われていたが、その後に社名変更が行われ、別の名称に切り替わっている。この社名表記が変わったタイミングは、素材の配合が切り替わった時期ともほぼ重なっているため、あわせて確認すると精度が上がる。
RN番号とは、アメリカ国内の衣料品メーカーに対して交付される登録番号のことで、ある年から発行が始まった制度である。そのため、タグにRN番号の記載があるかどうかは、それ以降の時代に作られたものかどうかを判断する簡易的な目安として使われている。番号の記載がない個体は、それより前の時代に製造された可能性が高いということになる。

タグに記載されている素材の配合比率も見逃せないポイントだ。かつては綿100%だった生地が、ある時期を境にポリエステルやアクリルを混ぜた配合へと変わっている。これは特定の法規制をきっかけにした変更で、その後も時代によって配合の比率が細かく変化していった。単色タグや刺繍タグの時代には、前期型・後期型で配合比率に差が見られることもあり、同じ見た目のタグでもここを確認することでさらに詳しい年代の絞り込みができる。
タグに入っている登録商標マークの位置や、生産国を示す表記の場所も、年代によって微妙に変わっている。表面に配置されていた時期もあれば、裏面に回っていた時期もあり、この配置の違いは同じデザインのタグ内でも前期型・中期型・後期型を分けるための重要な判断材料になっている。細部を拡大して確認する癖をつけておくとよい。
Championは1919年、アメリカのニューヨーク州ロチェスターでニット製品の会社として創業した。当初は大学や高校の運動部向けにトレーニングウェアを納入する事業からスタートしており、練習で酷使されることを前提にした頑丈な作りが特徴だった。1930年代に開発されたリバースウィーブは、まさにこうした実用性重視の発想から生まれた技術であり、以後何十年にもわたって改良が重ねられながら定番モデルとして受け継がれていく。この生い立ちを知っておくと、タグや素材の変遷にも自然と納得感が出てくるはずだ。単なる作業着的な耐久性の追求にとどまらず、時代ごとの改良の跡がそのままタグや素材の記録として残っている点も、このアイテムならではの奥深さと言えるだろう。
先述の5分類はあくまで大きな括りであり、実際にはそれぞれの分類の中でもさらに前期・中期・後期といった細かな移行段階が存在する。同じ「単色タグ」であっても、初期のものはタグの下部に一本の線(アンダーバー)が入っているのに対し、時代が進むとこの線が無くなるといった違いがある。細部の意匠まで見比べる習慣をつけておくと、大分類だけでは絞りきれない年代もより具体的に推測できるようになる。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1930年代末〜1940年代 | 初期のランタグ | ランナーを描いたイラストが目立つ大きめのタグ。生産数が少なく現存数も限られる |
| 1950年代前半〜半ば | タタキタグ(前期) | タグの四辺を縫い付ける仕様。この頃からREVERSE WEAVEの表記が入り始める |
| 1950年代後半〜1960年代 | タタキタグ(後期) | RN番号の記載が加わる。社名表記の変更や素材配合の変化が重なる時期 |
| 1970年代前半〜後半 | 単色タグ | 赤・青・緑・黄・黒の単色展開。前期はサイズごとに色分けされていた |
| 1980年代前半〜中頃 | トリコタグ | 赤と青を使った配色に変化。前期・中期・後期で素材配合や表記位置が異なる |
| 1990年代 | 刺繍タグ | プリントから刺繍仕上げへ変化。縦長のデザインになり、後半は生産国の移行が進む |
| 2000年代以降 | 現行系タグ | 生産国表記が多様化。現行品と復刻品が混在するため他の要素との併用確認が必要 |

実物を確認する際は、まずタグの大まかなデザイン分類(ランタグ・タタキタグ・単色タグ・トリコタグ・刺繍タグ)を見極めることから始めるとよい。次に社名表記とRN番号の有無を確認し、大まかな時代の枠を絞り込む。そのうえで素材配合の記載を読み、前期型か後期型かをさらに絞り込んでいく。最後にマークやプリントの位置といった細部を見て、矛盾がないかを確認する、という順序で進めると迷いにくい。

タグのデザインだけでなく、本体の縫製やボディのシルエットにも年代ごとの特徴が表れる。古い時代のものは肩や身頃にゆとりのある裁断が使われていることが多く、時代が進むにつれてシルエットにも変化が見られる。ジッパーやボタンなどの副資材のメーカー刻印も、タグと同様に補助的な年代判別の材料になることがあるため、あわせてチェックしておくと判断の精度が高まる。

Championのリバースウィーブは人気が高いだけに、過去のデザインを再現した復刻モデルも数多く展開されている。タグのデザインだけを見ると本物のヴィンテージと似ている場合があるため、内側についている品質表示タグや、生地の風合い、縫製の仕上がりなども含めて総合的に判断することが大切だ。とくに品質表示タグに現行の代理店名や現代的な取り扱い表記が入っている場合は、復刻品である可能性を疑ったほうがよい。

A. ランナーのイラストが入った初期のランタグが、現存する中でも最も古い部類にあたるとされる。生産数自体が少なく、状態の良いものはかなり希少とされている。
A. そうとは限らない。RN番号の制度が始まる前の時代に作られたものであれば、正規品であってもRN番号自体が存在しない。番号の有無は真贋の判定材料ではなく、あくまで年代の目安として使うのが正しい使い方だ。
A. 単色タグのほうが先に登場しており、その後の時代にトリコタグへと切り替わっている。単色タグは1970年代、トリコタグは1980年代を中心に使われていた。
A. 生産国の移行時期はおおまかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたほうがよい。タグのデザインや素材配合とあわせて確認することで、より精度の高い判断につながる。

オンラインで購入を検討する場合は、首元のタグを正面から撮った写真だけでなく、タグを少し斜めにして光を当てた写真も追加でもらうようにしたい。プリントタグは経年で色が薄れていることが多く、真正面からの写真だけでは配色や文字の輪郭が判別しづらいことがあるためだ。実店舗で確認する場合も同様に、タグを裏側までめくって品質表示部分の記載までチェックする習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。生地の厚みや裏起毛の質感、袖口や裾のリブの伸び具合といった全体の風合いも、タグの情報と合わせて見ることで、より確度の高い年代推測につながる。
ヴィンテージのリバースウィーブに価格差が生まれるのは、単純に古さだけが理由ではない。当時の生地の目付けや編み立ての工程、色落ちや毛羽立ちの表情など、その時代特有の質感が組み合わさることで、特定の年代のものに人気が集まりやすくなっている。同じ単色タグの時代であっても、カレッジ名のプリントが入ったものや、特定のボディカラーのものは特に評価が高くなる傾向がある。タグからわかる年代情報は、単なる「古さ」の目安にとどまらず、その一着がどのような時代背景の中で作られたのかを知るための入り口でもある。こうした背景を踏まえて眺めると、店頭で一着を選ぶ時間そのものがより味わい深いものになるはずだ。
特定の年代だけを狙って集めるのも面白いが、まずは気に入ったボディカラーやカレッジプリントを軸に選び、後からタグの知識で年代の裏付けを取っていくという楽しみ方もおすすめだ。同じ単色タグの時代でも色違いを並べてみると、当時のサイズ管理の名残がひと目でわかるなど、知識が増えるほど一着一着の見え方が変わってくる。焦らず知識を積み重ねながら、自分なりのお気に入りを見つけていってほしい。

Championのリバースウィーブの年代を読み解くには、タグのデザイン分類、社名表記、RN番号の有無、素材配合、マークやプリントの位置という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。ひとつの手がかりだけで断定せず、複数の情報を突き合わせることで、より確からしい年代の見当がつけられるようになる。タグに刻まれた小さな変化の積み重ねをたどっていく作業自体も、ヴィンテージ古着を楽しむ醍醐味のひとつと言えるだろう。
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