Converse(コンバース)のオールスターは、かかとのヒールパッチと中敷きのインソールを見るだけで、おおよその年代を絞り込める数少ないスニーカーだ。1917年に誕生して以来、基本のデザインをほとんど変えていないぶん、細部の表記が年代ごとにはっきり違うからである。この記事では、ヒールパッチの文字、星の数、「MODEL」表記、インソールの文字色、「MADE IN U.S.A.」の5つのポイントを早見表と手順つきで整理し、復刻モデルと当時物を見分けて古着屋やフリマアプリで失敗しない方法をまとめた。

先に結論:Converseのタグ年代判別 3つの要点
- ヒールパッチの文字を見る。「Chuck Taylor」の署名入りなら1970年代半ばまで、「ALL★STAR」表記なら1976年頃以降が目安。
- 斜めに並ぶ三ツ星のヒールパッチは1960年代〜70年代初期の当時物の象徴。ただし復刻モデル「CT70」も同じ意匠なので、インソールで区別する。
- インソールの文字色と生産国表記で仕上げる。黒文字なら古く、青文字なら1970年代以降。「MADE IN U.S.A.」があれば米国生産が終わる2001年より前の個体。
Converseのタグ年代早見表(1917年〜現在)
最初に、オールスターの年代を見分けるための早見表を示す。スニーカーなので「タグ」といっても布タグではなく、ヒールパッチ・アンクルパッチ・インソールの3か所が主な確認場所になる。
| 時期の目安 | ヒールパッチ | インソールの表記 | 生産国 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|---|
| 1917年〜1920年代 | チャック・テイラーの名が入る前の初期意匠 | 初期のロゴのみ | アメリカ製 | 市場にはほとんど出回らない創業期のオールスター |
| 1930年代〜1950年代 | 「Chuck Taylor MODEL」の表記 | 黒文字 | アメリカ製(表記なし) | 1932年に署名が入り、バスケットボールシューズとして定着 |
| 1950年代後期〜1960年代 | 斜めに並ぶ三ツ星。「MODEL」が消える | 黒文字 | アメリカ製(表記なし) | いわゆる三ツ星パッチ期。復刻CT70の元になった時代 |
| 1970年代 | 星の意匠が変化する移行期 | 黒文字から青文字へ | アメリカ製 | ヒールパッチとインソールの組み合わせで前半・後半を切り分ける |
| 1976年頃〜2001年 | 「ALL★STAR」表記 | 青文字。MADE IN U.S.A.入り | アメリカ製 | 古着市場でもっとも数が多い年代。2001年に米国生産が終了 |
| 2001年以降 | 「ALL★STAR」表記 | 多言語表記、生産国は海外 | インドネシア・中国・ベトナムなど | 2003年からナイキ傘下。日本は別会社が商標を管理し独自企画品が多い |
年代を分ける基準は「ヒールパッチの文字と星」「インソールの文字色」「生産国表記」の3系統に集約される。以下で順に見ていこう。
Converseとはどんなブランドか:オールスターの歴史を先に押さえる
Converseは1908年、アメリカ・マサチューセッツ州モールデンで、マーキス・ミルズ・コンバースが創業したラバーシューズの会社である。1917年に発売したキャンバス地のバスケットボールシューズが、のちの「オールスター」だ。バスケットボール選手のチャック・テイラーは1921年に入社し、各地で普及活動を続けた功績から1932年にアンクルパッチへ署名が加えられ、以来「チャック・テイラー」の名がモデル名として定着した。
1960年代には三ツ星のヒールパッチが登場し、この時代のデザインが後年もっとも人気の高いヴィンテージになる。1970年代半ばにヒールパッチは「ALL★STAR」表記へ切り替わり、以降2001年までアメリカ国内で生産が続いた。2001年の経営破綻を経て2003年にナイキ傘下に入り、生産はアジアへ移る。なお日本ではコンバースの商標を別の会社が管理しており、日本企画・日本製のモデルが独自に展開されている点も、古着を見るうえで覚えておきたい。
ローテクスニーカーの古着として比較されることが多いVans(バンズ)のタグ年代と同じく、オールスターは「変わらないデザイン」を売りにしているぶん、細部の変化が年代の目印になる。ハイテク志向のNIKE(ナイキ)やNew Balance(ニューバランス)のようにモデル名や品番で年代を追う方法とは、判別の考え方がまったく違う。
Converseのタグで年代を見分ける5つのポイント
オールスターの年代判別は、①ヒールパッチの文字→②星の意匠→③「MODEL」表記→④インソールの文字色→⑤生産国表記の順に確認するのが効率的だ。
①ヒールパッチの表記が「Chuck Taylor」か「ALL★STAR」か

かかとに貼られたヒールパッチ(通称ライセンスプレート)には、チャック・テイラーの署名が入っていた時代と、「ALL★STAR」の文字に切り替わった時代がある。1976年頃を境に表記が変わったとされ、署名入りなら1970年代半ば以前、「ALL★STAR」なら1976年以降というのが年代判別の出発点になる。
ただしアンクルパッチ(くるぶしの丸いパッチ)の署名は「ALL★STAR」期にも残っているので、確認するのはあくまでヒールパッチの文字だ。フリマアプリではアンクルパッチの写真しか無い出品も多い。かかとの写真が無い場合は必ず追加を依頼したい。
②ヒールパッチの星の数と配置
ヒールパッチの星にも時代差がある。古い時代には対角線上に小さな星を置いた意匠があり、1950年代後期から60年代にかけて、斜めに連なる三ツ星のデザインが登場した。この三ツ星パッチはヴィンテージのオールスターを象徴する意匠で、状態の良い個体は高値で取引される。
1970年代に入ると星の意匠は再び変化し、1976年頃の「ALL★STAR」表記では星は1つになる。星の数と配置を見比べることで、①で絞った時代帯をさらに細かく分けることができる。
③「MODEL」表記の有無

ヒールパッチ中央の文言は、かつて「Chuck Taylor MODEL」だったものが、時代が進むにつれて「MODEL」の文字が省かれていった。三ツ星パッチの時代にはすでに「MODEL」が消えているとされるため、署名入りで「MODEL」の文字があれば1950年代以前、署名入りで「MODEL」が無ければ50年代後期〜70年代前半、というふうに切り分けられる。
小さな文字の有無なので、パッチの摩耗や汚れで読めなくなっている個体も多い。斜めから光を当てて凹凸を確認すると、消えかけた文字が読めることがある。
④インソールのブランドネームの色
中敷きに印刷されたブランドネームは、黒色で表記されていた時代から、1970年代に青色へ変更されたとされる。黒文字なら70年代前半以前、青文字なら70年代以降の目安になる。インソールは履き込むと印刷が薄れるので、かかと側やつま先側に残った文字の色で判断する。
インソールが交換されている個体もあるため、この点は単独で結論を出さず、ヒールパッチの表記と矛盾がないかを確かめる補助的な項目として扱いたい。
⑤「MADE IN U.S.A.」表記の有無

インソールやヒールパッチに記載される生産国表記は、当時物かどうかを分ける重要な手がかりだ。古い時代のアメリカでは国内生産が当たり前だったため、あえて生産国を明記していない個体が多い。「MADE IN U.S.A.」が明記されるようになったのは比較的後の時代で、1980〜90年代の個体に多く見られる。
そして2001年に米国生産は終了し、以後はインドネシア、中国、ベトナムなどの生産国表記になる。つまり「MADE IN U.S.A.」があれば2001年以前、海外の生産国が書かれていれば2001年以降と、はっきり線が引ける。生産国表記が無い場合は、①〜④の結果と合わせて70年代以前の可能性を検討する。
年代別に見るConverseオールスターの特徴

5つのポイントを年代ごとに組み合わせると、次のようなプロファイルになる。
- 1950年代以前:ヒールパッチに「Chuck Taylor MODEL」、インソールは黒文字、生産国表記なし。現存数がきわめて少なく、履ける状態の個体はほぼ博物館級。
- 1950年代後期〜1960年代(三ツ星パッチ期):斜めの三ツ星、署名入り、「MODEL」なし、インソール黒文字、生産国表記なし。ヴィンテージ市場でもっとも人気が高く、復刻CT70の元になった。
- 1970年代前半:星の意匠が変わる移行期。インソールが黒文字から青文字へ切り替わる。ヒールパッチとインソールの組み合わせで判断する。
- 1976年頃〜2001年(ALL★STAR米国製期):ヒールパッチ「ALL★STAR」、インソール青文字、「MADE IN U.S.A.」表記。古着市場に出回る当時物の大半がこの年代で、80年代と90年代はソールの成型やキャンバスの質感で見分ける。
- 2001年以降:アジア製、多言語表記。2003年以降はナイキ傘下の企画。日本流通品には日本の商標管理会社による独自企画・日本製モデルが含まれる。
Converseの古着を実際に確認する手順(5ステップ)

- ヒールパッチの文字を読む。署名入りなら70年代半ば以前、「ALL★STAR」なら1976年以降。
- 星の数と配置を見る。斜めの三ツ星なら50年代後期〜70年代初期、星1つなら「ALL★STAR」期。
- 「MODEL」の文字の有無を確認する。あれば50年代以前の可能性。
- インソールの文字色を見る。黒なら70年代前半以前、青なら70年代以降。交換の可能性も考慮する。
- 生産国表記を確認し、全体の整合性を取る。「MADE IN U.S.A.」なら2001年以前。海外製なら2001年以降。表記なしなら①〜④と合わせて70年代以前を検討。
スニーカーは布タグの代わりに複数箇所の表記を組み合わせて読む。布タグで年代を読むアパレルブランドとは確認場所が違うだけで、「大きな特徴→細部→生産国→整合性」という考え方は同じだ。
復刻モデル「CT70」と当時物の違い

現在展開されている復刻モデル「チャック70(CT70)」は、1960年代後期から70年代初期のオールスターを再現したもので、三ツ星のヒールパッチも忠実に再現されている。見た目は当時物によく似ているため、フリマアプリでは「三ツ星=ヴィンテージ」と誤解して高値で買ってしまう例が後を絶たない。
見分けるポイントはインソールと生産国だ。復刻モデルはクッション性の高い現代的なインソールを備え、生産国はベトナムやインドネシアなど海外表記になる。当時物は薄いインソールに黒文字の表記で、生産国表記が無いか、あってもアメリカ製である。また復刻モデルはヒールパッチの印刷が鮮明で、キャンバスの目も均一だ。当時物の三ツ星パッチはゴムの経年変化で黄ばみや細かなひび割れが出ていることが多い。
復刻モデル自体は当時のデザインへの敬意を込めて作られた良質な靴であり、現代の品質で当時の雰囲気を楽しむには最適な選択肢だ。ただしヴィンテージとしての価値を求めて買うなら、この違いを把握しておく必要がある。
フリマアプリ・古着屋でConverseの古着を買うときの注意点

オンラインで購入するときは、ヒールパッチの接写と、インソール全体が写った写真の2枚を必ず確認したい。この2枚がそろえば、①〜⑤のほとんどを判断できる。写っていなければ出品者に追加を依頼する。「ヴィンテージ」「三ツ星」と書かれていても、インソールが現代的なら復刻の可能性が高い。
実店舗では、ヒールパッチとインソールに加えて、ソールのゴムの硬化具合、キャンバスの色あせ、靴紐の素材まで見ておくと判断材料が増える。古い時代のキャンバスは織りが粗く独特の風合いがあり、ソールのゴムは経年で飴色に変わっていることが多い。こうした質感は復刻では再現しにくいので、慣れると触感でも見当がつくようになる。
価格については、三ツ星パッチ期の当時物と、80〜90年代の米国製「ALL★STAR」では評価が大きく異なる。年代判別で得た情報と、サイズ、コンディションの3つを合わせて、その値付けが妥当かを判断するのが基本だ。全国の古着屋を探す際も、スニーカー専門店や米国買い付けに強い店ほど、こうした細部を確認して値付けしている。
Converseのタグ年代判別 よくある質問

「チャックテイラー」と「オールスター」はどちらが古い表記?
ヒールパッチにチャック・テイラーの署名が入っていた時代のほうが古く、1976年頃を境に「ALL★STAR」表記へ切り替わったとされる。ただしアンクルパッチの署名はその後も残っているので、確認するのはヒールパッチの文字だ。
三ツ星パッチはなぜ人気がある?
1950年代後期から70年代初期の限られた時代にしか使われなかった意匠で、ヴィンテージスニーカーの象徴として評価されているためだ。復刻モデルCT70はこの意匠を再現しているが、当時物とはインソールと生産国で区別できる。
復刻モデルはヴィンテージと呼べる?
近年発売された再現モデルなので、当時物とは区別して考えるのが望ましい。復刻モデルは現代的なインソールと海外の生産国表記を持ち、当時物は薄いインソールに黒文字、生産国表記なしかアメリカ製である。
「MADE IN U.S.A.」があれば必ず古い?
米国生産は2001年に終了しているため、「MADE IN U.S.A.」表記があれば2001年以前の個体と判断できる。ただし表記が無いからといって新しいとは限らず、70年代以前は生産国を書かない個体が多い。
インソールの文字色だけで年代を決められる?
大まかな目安にはなるが、インソールは交換されていることもあるため単独で断定するのは避けたい。ヒールパッチの表記や星の意匠と組み合わせて、矛盾がないことを確かめてから判断するのが確実だ。
まとめ:Converseの年代は「ヒールパッチ・インソール・生産国」で読む

オールスターの年代判別は、ヒールパッチの文字と星、「MODEL」表記の有無、インソールの文字色、「MADE IN U.S.A.」表記の5つを、かかと→中敷き→生産国の順に確認していくのが基本だ。署名入りか「ALL★STAR」か、三ツ星か星1つか、黒文字か青文字か、米国製か海外製か。この4つの二択を積み重ねれば、1950年代から2000年代まで、おおよその時代帯に振り分けられる。
100年以上ほとんど姿を変えていない靴だからこそ、小さな表記の違いがそのまま歴史の目印になる。手元の一足がどの時代のコートを踏んできたのか、かかとと中敷きを手がかりに確かめてみてほしい。